20年以上ヘリコプターの操縦士として働いていた韓国の元軍人が、その後、難聴を発症したとして国家有功者として認定されたことが明らかになった。
15日、韓国の法曹界の報告によると、ソウル行政裁判所行政6単独のユン・ソンジン裁判官は、退役軍人であるAさんがソウル北部保訓庁長に対し「国家有功者要件の非該当決定の取り消し」を要求した訴訟で、原告勝訴の判決を下した。
Aさんは1990年に陸軍に入隊し、21年間ヘリコプター操縦士として働き、定年退役した。飛行経歴証明書によると、Aさんの総飛行時間は5,765時間、着陸回数は12,460回に及ぶという。このうち、戦闘用ヘリコプターの飛行時間は4,320時間、着陸回数は10,942回であった。
Aさんは退役前の2010年、両側感音性難聴と診断された。そして退役後、難聴に関して災害負傷軍人から公傷軍人への変更を要請するという国家有功者登録を申請したのである。
しかし、当初は国家有功者として認められなかった。Aさんの疾病の直接原因が、国家防衛等と実際に関連している職務遂行や教育訓練によるものだと確認できなかったためである。
災害負傷軍人と公傷軍人は、国家防衛や国民の生命等と直接関連のある職務遂行中に負傷・疾病が発生したかどうかで区別される。災害負傷軍人は報勲補償対象者、公傷軍人は国家有功者に該当するとされている。
しかし、今回の裁判所判決により、Aさんは国家有功者として認定されることとなった。裁判所側は「Aさんが患っている難聴は、ヘリコプター操縦中に曝露された騒音が主な要因となり発生した騒音性難聴である」とし「また、ヘリコプター操縦は国家防衛・安全保障または国民の生命・財産保護のための業務であるため、公傷軍人の要件に該当する」と判断したという。
さらに「保訓庁側はすでに難聴に関してAさんを災害負傷軍人として登録している。これは難聴が、軍務によって発症・悪化するという因果関係を認めていることを前提としている」と述べた。
◆難聴とは
難聴は、言葉や音を聞き取ることが困難な症状を指す。診断名というよりかは、聞こえづらい症状そのものを難聴と呼ぶ。
難聴の原因は様々である。外部の音を認識する過程で、問題がある部分がどこかによって、大きく二種類に分類されるという。
音は耳介で集められ、外耳道を通って鼓膜を振動させる。鼓膜の振動は耳小骨の振動を引き起こし、この振動が蝸牛に伝わる。この過程で問題が生じると、伝音性難聴となるのである。
蝸牛まで音の振動が正常に伝わると、蝸牛は感覚神経細胞を用いてこの振動を神経信号に変換し、神経を介して脳へと伝達する。この過程で問題が生じる場合を、感音性難聴または神経性難聴と呼ぶのだ。
◆難聴の治療法
感音性難聴は、原因によっては薬物治療で部分的に改善したり完治したりできるという。特に、突然聴力が低下する突発性難聴は、症状発現から1ヶ月以内に集中的な薬物治療を行うことが極めて重要である。そして、聴力の改善が見込めないと判断された場合や聴力自体の向上が困難な場合には、補聴器の使用が検討されている。
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