JTBCは金曜ドラマ枠を新設し、週末ドラマを二夜連続で編成する体制へと移行する。視聴率アップと地上波ドラマへの牽制を同時に狙った戦略という見方が出ている。

韓国の大手総合編成チャンネルJTBCは7月から毎週金曜午後8時50分にドラマ2本を連続放送する「金曜シリーズ」を開始すると発表した。従来の土曜・日曜ドラマ枠はそのまま維持されるため、これによりJTBCは金曜から日曜まで週末ゴールデンタイムをすべてドラマで編成することになる。
金曜シリーズ第1作は7月18日放送の感性ノワール『善い男(착한 사나이)』で、主演はイ・ドンウクとイ・ソンギョン。ヤクザ一家の長男パク・ソクチョル(イ・ドンウク)とステージ恐怖症を抱える歌手志望生カン・ミヨン(イ・ソンギョン)の再会を軸に、傷を抱えた人々が互いを癒やし成長していく濃厚な人間ドラマを予告している。家族・愛・組織間の葛藤が交錯するヘビーなストーリー展開が見どころだ。
続いて、ソン・ジュンギとチョン・ウヒが出演するロマンス『マイユース』、ソ・ヒョンジン主演のメロウ成長ドラマ『ラブ・ミー』も金曜シリーズとして編成される予定だ。
JTBC関係者は編成方針について「作品の制作スケジュールや出演者の都合を総合的に考慮して決定している」と説明。その上で「土曜・日曜ドラマは幅広い年齢層が一緒に楽しめる内容を中心に、金曜ドラマは独創的でクリエイティブな題材を優先している」と明かした。
今回の編成変更は地上波局にとって負担となる可能性がある。これまでJTBCの週末ドラマは土曜・日曜のみの放送で、SBSやMBCの金土ドラマとは直接衝突する機会が少なかった。しかし金曜シリーズ新設で金曜日にも競争軸が生まれ、視聴率に影響が及ぶとの分析が出ている。JTBCは金曜シリーズ立ち上げに際し「週末黄金時間帯におけるJTBCの影響力はさらに拡大する」と自信を示している。

金曜シリーズの導入には、視聴率アップを狙う意図も込められている。JTBCは昨年まで水曜・木曜にドラマ枠を設けていたが、低視聴率と話題性不足の問題に直面した。昨年放送された水木ドラマ4作のうち、最高視聴率が5%を超えた作品は、イ・ジア主演の『最高のトラブルシューター』1本だけだった。一方、金曜日は平日の中でもテレビ視聴の比重が高い曜日であり、この時間帯を攻略したのは自然な選択と言える。
水木枠をやめて金曜編成を選んだ背景には、現実的な事情もある。木曜午後10時には人気バラエティー『離婚熟慮キャンプ』が、また水曜午後9時には『冷蔵庫をよろしく』が放送中だ。どちらも固定視聴層が厚いため、ドラマを同時間帯に編成するにはバラエティーを動かさざるを得ず、そのリスクが大きかった。そこでJTBCは、新たに金曜枠を設ける方針をとったとみられる。
1夜に2話連続で放送する構成は、OTT中心の視聴スタイル、いわゆる“イッキ見”トレンドを反映した試みだ。JTBCは「一作品を続けて視聴したいという嗜好を踏まえ、金曜シリーズを2話連続放送とした」と説明。今後も視聴者の選択肢を広げる多様な形態のコンテンツを披露していく計画だ。
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