映画界の巨匠パク・チャヌク監督が3年ぶりに世に送り出す新作『仕方がない(韓国語原題訳)』が、第82回ベネチア国際映画祭コンペティション部門への正式出品作に選出され、国内外の映画ファンの注目を集めている。

9月公開予定の本作は、米作家ドナルド・E・ウェストレイクの小説『斧』を原作としたブラックコメディ・スリラーだ。製紙会社に25年間勤めた末、突然リストラされた中年サラリーマン、マンス(イ・ビョンホン)が、家族と自宅を守るため「再就職戦争」に飛び込み、予測不能の騒動を巻き起こしていく物語である。
パク・チャヌク監督は本作について「前作のユーモアが控えめだったとすれば、今回はもっと露骨だと言えるだろう」とコメント。自ら「露骨」という言葉を用い、過去作よりも演出のトーンや表現のレベルを一段と大胆に引き上げたことを強調した。

キャスティングでも注目度は抜群だ。主人公マンスを演じるイ・ビョンホンは、『イカゲーム』シリーズや『南山の部長たち』で見せた卓越した演技力を武器に、極限状況へ追い込まれる一家の大黒柱の姿を繊細に描き出す予定だ。パク・チャヌク監督は「イ・ビョンホンは本当に多彩な表情を持つ俳優だ。状況に応じてさまざまな感情を瞬時に切り替えるので、最初から最後まで退屈する暇がなかった」と絶賛した。
マンスの妻ミリ役にはソン・イェジンがキャスティングされ、7年ぶりのスクリーン復帰作としてさらに注目を集めている。『愛の不時着』で世界的な人気を得た彼女は、本作で突然の家計危機にも屈せず家族の中心を支える現実的な妻を演じる。ソン・イェジンは「ミリは楽天的で、どんなときも笑顔を失わない女性。彼女ならこの状況でどうするだろうか、と想像しながら演じた」と語った。

さらに、パク・ヒスン、イ・ソンミン、ヨム・ヘラン、チャ・スンウォンといった実力派が合流し、作品の完成度を一段と高めている。この華麗な顔触れにネットユーザーは「演技の天才が大集合」と期待を寄せている。
映画『仕方がない』が今年のベネチア国際映画祭コンペティション部門に進出したことは、韓国映画界にとっても特別な意味を持つ。韓国作品が同部門に招待されたのは、2012年のキム・ギドク監督作『嘆きのピエタ』以来13年ぶりの快挙であり、パク・チャヌク監督にとっては2005年の『親切なクムジャさん』以来3度目のベネチア入りとなる。
パク・チャヌク監督は本作について「ずっと前から一番作りたかった物語」と語る。実際、17年前から脚本作業を温めてきたとされ、監督の格別な愛着がうかがえる。ベネチア招待の感想を求められると、「長い年月、諦めずにいて本当によかった」と喜びをにじませた。

CJ ENM映画事業部のチョン・ヒョンジュ部長は「低迷する韓国映画界に新たな活力を吹き込む作品になることを期待している。今後もグローバル市場で持続可能な成果を上げられるよう、あらゆる面で努力を続けていく」と抱負を語った。
ネット上でも「1,000万人動員で行こう」「タイトルからして観ないわけにはいかない」「パク・チャヌク×イ・ビョンホン×ソン・イェジン=信頼の組み合わせ」「まったく展開が読めない。結局劇場で観るしか…」など熱い反応が相次いでいる。
『オールド・ボーイ』でカンヌ審査員大賞、『渇き』で審査員賞、『別れる決心』で監督賞を受賞し、世界的地位を確立したパク・チャヌク監督の新作『仕方がない』は、8月27日に開幕する第82回ヴェネチア国際映画祭を経て、9月に韓国で公開される予定だ。
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