脚本家キム・スノクの話題作『7人の脱出』が、放送終了から2年を経てNetflixを通じ世界の視聴者に公開された。18日、Netflixは2023年にSBSで放送された本作の全エピソードを19歳以上視聴可として配信した。

『7人の脱出』は、一人の少女の失踪事件をめぐって集まった7人の悪人たちが、生き残りを懸けて血みどろの闘いを繰り広げるピカレスクロ復讐劇だ。2023年9月15日から11月17日まで、全17話で放送された金土ドラマで、虚偽と欲望がぶつかり合う犯罪スリラーとして、当時から過激な題材により議論の中心となっていた。

歴代級の悪役ラインナップと緻密な復讐劇
物語の中心となるのは、冷酷な企業総帥クム・ラヒ(ファン・ジョンウム)、かつて組織に身を置いたミン・ドヒョク(イ・ジュン)、アイドルを夢見るハン・モネ(イ・ユビ)、打算的な医師チャ・ジュラン(シン・ウンギョン)、芸能事務所を運営するヤン・ジンモ(ユン・ジョンフン)、教師コ・ミョンジ(チョ・ユニ)、刑事ナム・チョルウ(チョ・ジェユン)の7人の人物が中心軸を成す。彼らを束ねるのが、メディア財閥の大物マシュー・リー(オム・ギジュン)で、各キャラクターの暗い過去と秘密が暴かれる中、復讐の歯車が回り始める。
『最後の女帝』『ペントハウス』シリーズでドロドロとしたドラマの新たな地平を開いたキム・スノクとチュ・ドンミン監督が再び手を組んだ作品として、放送前から大きな期待が寄せられた。制作費は約460億ウォン(約48億8,140万8,600円)に達し、その巨額の制作費でも注目を集めた。

最高視聴率7.7%…期待を下回る結果と物議
しかし放送結果は期待値に届かなかった。最高視聴率は7.7%にとどまり、放送を重ねるごとに数字は下降した。特に大きな反転が起きた第5話は、逆に5.6%まで下落し、視聴者の離脱が加速した。
原因として挙げられたのが過度な刺激性だ。未成年の出産、援助交際、麻薬、集団幻覚などの題材が毎話登場し、家庭内暴力や殺人の描写も具体的だった。キム・スノク作家らしいスピード展開と破格の設定も、今回は「一線を越えた」との評価が相次いだ。
視聴者からは「5分ごとに誰かが叫び、1話で最低1人は死ぬ」「カタルシスより苛立ちが募る」といった反応が寄せられた。巨額の制作費が投じられたにもかかわらず、幻覚シーンのユニコーンやオーロラの演出が不器用だとの指摘もあった。

放送終了1年後、放送通信審議委員会が制裁
論争は放送終了後も続いた。2024年12月、放送通信審議委員会は本作に対し法定制裁を決定し「高校生が学校で出産する場面、実母が高校生の娘を殴り首を絞め暴言を浴びせる家庭内暴力、 生きた人を棺に入れ釘を打ち海に投げ捨て殺害する場面などが具体的に繰り返し描写された」と制裁理由を説明した。

Netflix公開で「再評価」の可能性も
このように放送当時から賛否の的だった『7人の脱出』だが、今回のNetflix公開により、新たな視聴者層に届く機会を得た。Netflixで全話を一気に視聴可能となり、特徴であるスピード展開や複雑な伏線が改めて評価される可能性もある。

ドラマの見どころは、7人の悪人たちが互いを疑い裏切りながら進むサバイバルゲームの緊張感、各キャラクターが抱える多層的な内面と秘密、権力層の腐敗と欲望を描く社会的メッセージ、そして事件の核心を握るマシュー・リーの存在だ。
刺激的でありながら中毒性の高いストーリー、俳優陣の熱演、復讐と裏切りが絡み合う緻密な構成は依然として本作の強みだ。ただし暴力性・性愛表現が強いため、19歳以上視聴可として公開されており、視聴には注意が必要となる。
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