初放送で視聴率1%台の屈辱を乗り越え、順調に上昇しているドラマが放送界の注目を集めている。低調な成績が懸念されたが、各回で最高視聴率を更新し、話題作として浮上した本作はENAドラマ『かけがえのない私のスター』である。

ENAで放送されるジーニTVオリジナルドラマ『かけがえのない私のスター』は、先月18日に視聴率1.3%でスタートし、その後驚異的な反発を見せている。
ニールセンコリアの有料世帯基準によれば、第2話は1.9%、第3話は2.4%、第4話は3.1%と堅実な上昇を記録。特に、1日に放送された第5話では、全国視聴率3.1%、首都圏では2.6%を記録し、過去最高を更新した。本作は第4話以降、安定して3%台を維持し、毎回視聴率記録を更新している。
平凡な中年女性に転落したトップスター…波乱万丈のカムバックストーリー
本作は、かつて韓国最高のトップスターであったイム・セラが、一夜にして平凡な中年女性ポン・チョンジャに転落し、数々の困難を乗り越えて復帰する姿を描くロマンティックコメディである。25年の時を経て記憶を取り戻した元スターが現実に適応していくエピソードは、多くの視聴者の共感を呼んでいる。
オム・ジョンファが演じるポン・チョンジャは、かつての華やかなスター時代と現代のどこか色あせた姿とのギャップを巧みに表現し、物語の核を担っている。特に、彼女の「寂しげなカムバックショー」は、リアリティとユーモアを見事に融合させ、配役の魅力を際立たせている。

第5話では、チョンジャが降板の危機に直面した後、作家を直接訪ね、突拍子もないアイディアで家政婦役を復活させる展開が描かれ、視聴者の興味を引いてた。このような劇的な展開と逆転劇が、視聴者の没入感を一層高めている。
第5話のエピローグでは、かつてセラがドッコチェルをタイプと言ったシーンが明かされ、ロマンスへの期待感が一層高まった。自分のタイプとは言えなかったチョンジャのどんでん返し劇は、今後のロマンス展開への期待を更に掻き立てる。
現在と過去を行き来する構成と、記憶を取り戻すプロセスで繰り広げられるロマンスは、本作の大きな見どころとなっている。25年という時の隔たりを超えるラブストーリーの結末に、注目が集まっている。
オム・ジョンファ、ソン・スンホンが10年ぶりの再会…堅実なキャストが生む相乗効果
成功要因の一つは、実績ある俳優陣のキャスティングにある。オム・ジョンファと10年ぶりに再会したソン・スンホンは、ソウル西東警察署交通管理課の警部ドッコチェル役として、絶妙なケミストリーを披露している。イェルは韓国トップ女優のコ・ヒヨン役、オ・デファンはトゥウォン・エンターテインメント代表のカン・ドゥウォン役、チャ・チョンファはメイクアップショップ「ミンナッ」代表院長ミン・テスク役を担当し、それぞれの個性を存分に発揮している。
特に、第5話ではソン・スンホンがオム・ジョンファのマネージャーに偽装潜入するシーンが印象的で、物語に緊張感をもたらしている。ドッコチェルがカン・ドゥウォンと対面し、自分をマネージャーと紹介し「イム・セラさんの話はこれから私を通して」と発言するラストシーンは、今後のダイナミックな展開への期待を高めるものとなっている。

本作は単なるコメディに留まらず、ミステリアスな要素も大きな魅力となっている。チョンジャが25年前の交通事故当時、マネージャーだったドゥウォンの怪しげな行動を思い出すシーンは、過去と現在を繋ぐ重要な手がかりとなる。ク・ナムジュの独特な演技による事故シーンで、チョンジャが断片的な過去の記憶を呼び戻す設定は、物語への没入感をさらに高めるものとなっている。
また、ドウォンが25年ぶりに現れたセラを、驚かずに迎えるシーンも一層謎めいている。こうしたミステリアスな設定は、単なる復帰ストーリーを超え、視聴者の推理心を刺激する効果を発揮している。
話題性指数も上位に…ソン・スンホン「『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を超えるヒット作になる予感」
グッドデータコーポレーションが発表した8月第3週目のTV・OTTドラマ検索(出演者キーワード部門)では、『かけがえのない私のスター』の出演者が1位から5位までを独占。オム・ジョンファ、イェル、ソン・スンホン、オ・デファン、チャ・チョンファが上位にランクイン。また、ドラマ自体もTV・OTTドラマ検索の反応ランキングで3位に入り、その話題性が証明された。
これは、視聴率の上昇だけでなく、大衆の関心や検索数が増加していることを示す指標である。オンライン上での話題性と実際の視聴率が共に上昇するのは、作品の波及効果が拡大している証と解釈できる。

ソン・スンホンは本作への期待を隠さなかった。「台本が非常に面白く、撮影も楽しく進められたので大いに期待している。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を超えるヒット作になる予感がする」と自信を持って語った。
この発言は、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の成功と似た軌跡を辿る点でも注目に値する。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は初回1%台から始まり、第5話で5%を突破し、後半では最高17.5%にまで上昇した。業界内では、本作も同様の流れをたどるとの見方がある。
月火曜午後10時に放送される全12話の『かけがえのない私のスター』は、ジーニTVとTVINGでも見逃し配信が提供され、視聴の敷居を下げている。OTTと地上波の同時放送という戦略も、視聴者層の拡大に寄与している。
業界では、本作がENAの新たなヒット作として定着する可能性に注目している。初期の苦戦を乗り越えた着実な上昇が、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のような旋風を巻き起こすかどうかが、大きな関心事となっている。
コメント0