歌手パク・ジェボムが乳がん認識向上キャンペーンで女性の身体をテーマにした歌を熱唱し、論争が起きている。
今回の事件は、キャンペーンの趣旨とは無関係な公演での選曲により社会的批判を引き起こし、主催側と歌手の双方に責任が問われる事態となった。
16日、ファッション雑誌「W KOREA」は公式Instagramにパク・ジェボムの公演映像を公開した。この映像は10月15日にソウルのあるホテルで開催された、W KOREA主催「Love Your W 2025」祝賀ステージの様子を収めたもので、怪我をした足にもかかわらず情熱的なパフォーマンスを披露したシーンが紹介されていた。投稿には「始まりと同時に空間を文字通り引き裂いた」という文とともに、高画質ライブ映像が夕方にYouTubeで公開される予定である旨の案内も含まれていた。

しかし、映像は投稿から20分後に削除された。これは、乳がん認識向上キャンペーンでパク・ジェボムが歌った曲が2015年に発売された「MOMMAE」であったためである。この曲は、女性の豊満な身体を男性の視線から表現した歌詞が特徴で、キャンペーンの目的と一致しないとの指摘がなされた。特に、一部の歌詞には「私たちの関係が何なのかよくわからないけれど、今、君の胸にぶら下がっている双子の妹を見せてほしい」という表現が含まれており、公の場では不適切であるとの批判が提起された。なお、音源プラットフォームでは成人認証を経なければ視聴できない楽曲となっている。
今回の論争について、ネットユーザーたちはイベントの趣旨と選曲が一致していないと強く批判した。あるネットユーザーは「乳がんを利用するだけではなく、来年からは趣旨に合うよう改善すべきだ」と指摘し、また病院勤務者であると明かしたネットユーザーは「酒を飲んで芸能人の公演を見ることが乳がん認識向上とどう結びつくのか。患者への配慮が感じられない」と批判した。さらに、別のネットユーザーは「イベント開催費用が寄付金より多くないか。飲酒と露骨な歌は乳がん患者にとって不適切だ」と非難した。

「Love Your W」キャンペーンは今年で20回目を迎え、過去20年間で約10億ウォン(約1億600万円)を寄付したとされる。今年のイベントにも多くの芸能人やファッション界の関係者が参加し、祝賀ステージや各種公演、飲酒と晩餐を兼ねた形式で催された。
主催側は映像削除後、改めて公式な謝罪は行っていない。しかし、今回の事件を契機に、イベント企画や公演の選曲、さらにはキャンペーンの趣旨と内容の整合性について内部検証が求められている。社会的批判が集中する中、今後の類似キャンペーンでは、公共の趣旨に即した公演内容やコンテンツの選定が重要な課題として浮上している。
今回の論争は単なる芸能界のハプニングを超え、公益キャンペーンにおいてイベントとコンテンツがどのように社会的メッセージと調和すべきかという議論へと発展している。

コメント0