歌手テイが、芸能界の大先輩である故イ・スンジェの訃報を受け、生放送中に惜しむ思いを語った。

25日午前、MBC FM4U「グッドモーニングFM テイです」の生放送中にリスナーからイ・スンジェの訃報が伝えられた。これを受けたDJテイは言葉を詰まらせながらも深い哀悼の意を示した。
ニュース1の報道によると、テイは「先生はご自身の生涯が尽きるまで舞台やカメラの前に立ち続けるとおっしゃっていたので、100歳を超えても元気に活動されると思っていたのに…心よりご冥福をお祈りします」と切ない思いを明かした。さらに「良い場所にいらっしゃると思います。一生挑戦を止めず、全力を尽くされた姿を忘れません。尊敬しています」と後輩としての敬意も述べた。
韓国の演技界を象徴する重鎮俳優イ・スンジェはこの日未明に世を去った。享年91歳。遺族によると、現在葬儀場を設けており、葬儀の手続きは後日案内される予定だ。
訃報が伝わると、各種オンラインコミュニティやSNSには追悼のメッセージが相次ぎ、「信じられない」、「子どもの頃から見て育ったので心が痛む」、「先生のおかげで幸せだった」など故人を偲ぶ言葉が続き、大衆の哀悼が広がっている。
1956年に演劇『地平線の彼方』でデビューしたイ・スンジェは、1960年にKBS1期公募タレントに選ばれて以来、ドラマ・映画・演劇を行き来しながら70年近く演技活動を続けてきた。
特に韓国初の放送局HLKZ-TV時代から舞台を守ってきた彼は、韓国放送の歴史を身をもって証明した生きた演技の教科書として評価されてきた。
出演作も幅広い。ドラマ『愛が何だって』は最高視聴率65%を記録し、韓国ドラマ史に記録として残り、『ホジュン〜宮廷医官への道〜』、『商道-サンド-』など時代劇から現代劇までジャンルを超えた存在感を示した。2000年代に入ってからはシットコム『思いっきりハイキック』、『明日に向かってハイキック』を通じて以前の厳格なイメージを脱ぎ捨て、大衆に親しみやすく愉快な魅力を見せ、世代を超えた愛を受けた。
90歳を目前にしても挑戦は止まらなかった。『チャンス商会』(2016)、『アンリおじいさんと私』(2017)、『リア王』(2021)など舞台を中心に活発な活動を続け、特に『リア王』では200分近い公演の膨大なセリフを完璧にこなし高評価を得た。

2023年にはアントン・チェーホフの戯曲「かもめ」を大劇場の舞台に上演し、演出家としても新たな一歩を踏み出した。
昨年も彼の情熱は衰えなかった。10月に健康問題で活動を一時中断する直前まで演劇『ゴドーを待ちながら』とKBS2TVドラマ『犬の声』に出演し、最後まで俳優としての責任を果たした。同年KBS演技大賞では歴代最高齢の大賞受賞者に輝く栄誉も得た。
ただし昨年末に健康悪化で『ゴドーを待ちながら』から降板し、今年8月には所属事務所が「リハビリ病院で治療を受けながら回復中」とし、「状態が改善されれば再び作品活動を再開する計画」と明らかにした。しかし大衆との約束を守れないまま生を終えることになった。
イ・スンジェは俳優であり教育者としても大きな足跡を残した。演技芸術を夢見る後輩の育成に特別な愛情を示し、カチョン大学演技芸術学科の名誉教授として数年間後進を指導した。
また1992年の第14代総選挙で民主自由党候補としてソウル中浪甲に出馬し当選し、一時政界に身を置いた。国会では民自党の副報道官、韓日議員連盟の幹事などを歴任した。
大衆の心の中で「生涯現役」として生き続けていた彼が去った今、後輩たちの追悼メッセージと多くの市民の哀悼が続き、彼の足跡が改めて照らし出されている。
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