1990年代中盤に人気絶頂の中で表舞台から姿を消した俳優チュ・ヨンマンが、約26年ぶりにスクリーンへ戻ってくる。オカルトスリラー『アザー・サイド死者の扉』で復帰を果たし、続いて『ピファ(韓国語原題名)』への出演も決定し本格的な再始動を告げた。

『アザー・サイド死者の扉』は作家志望のホウン(イ・ルダ)と会社員スンユン(チャ・ソヌ)が秘密を抱えたペンションにたどり着いたことから始まるオカルトスリラーだ。台本読みの現場ではチュ・ヨンマンの存在感が際立っていたという。長い空白を感じさせない現実味のある演技で名脇役としての健在ぶりを改めて印象づけた。チュ・ヨンマンが演じるのは物語の鍵を握るペンションのオーナー、ユン・ジョングだ。
次回作『ピファ』は巨匠の追悼展に展示される未完の傑作を巡り、失踪や死、隠された秘密が不気味に展開していく作品だ。チュ・ヨンマンは美術史の講義を担当する美大の学部長役として登場し、正義よりも実利、真実よりも体面を重んじる人物像を体現する。
チュ・ヨンマンは1994年、MBCドラマ『総合病院』で医師カン・デジョンを演じ、強烈な印象を残した。丸みのある風貌と柔らかな性格を生かしたコミカルな役柄で支持を集め、同僚医師たちともみ合い、常に振り回される姿が親近感を呼んだ。

昨年にはユーチューブチャンネル『近況オリンピック』でチュ・ヨンマンの近況が紹介された。映像によると、ドラマの人気はCM出演のオファーへと直結し「『総合病院』は4話でCMが5、6本入った。最終的には20本近く出た。あの頃はしっかり稼いだ」と率直に語り笑いを誘った。医薬品から電子機器、ハンバーガーまで幅広いジャンルの広告に出演し、出演料の数字が多すぎて公衆電話ボックスの中で倒れそうになったというエピソードも明かしている。
演技にまつわる話としては、100回近くに及んだ『総合病院』の撮影で5分ほどの場面を10時間かけて撮影したこともあったという。手術用手袋を外すと手が腫れ上がるほどだったと振り返る。
しかし、チュ・ヨンマンは全盛期の只中で俳優業から距離を置いた。理由は家族だった。撮影の合間に食堂で泣く赤ん坊を見て、幼い娘に会いたくなったという。「辞めてからも2年ほどは出演の連絡が続いた」と語るように業界内の惜しむ声は少なくなかった。
現在30歳になった娘がロースクールを卒業したという近況も伝えられ、驚きを呼んだ。動画は再生数47万回を超え、変わらぬ関心の高さを示している。
復帰にあたりチュ・ヨンマンは「忘れられていても不思議ではないのに、今も覚えてくれている人がいることに感謝している。生まれ変わるつもりで戻る準備をしている」と心境を語った。25年前の決断についても「もう一度戻っても同じ選択をする」とし後悔はないと話している。
チュ・ヨンマンはソウル芸術専門大学映画科を卒業後、1975年に舞台でデビューした。1976年にTBC特別採用でテレビ界に進出し、1981年にはKBS公募タレント8期として正式デビューを果たした。ドラマ『LAアリラン』などで存在感ある脇役演技を見せてきた。
チュ・ヨンマンは舞台、映画、ドラマ、シットコムまで幅広いジャンルを横断し、作品に活力とリアリティを加える独自の演技で支持を得てきた。昨年はKBS水木ドラマ『ヴィランの国』に特別出演し、短い登場ながら強い印象を残している。
26年の空白を経て戻ってきた名脇役が、再びどのような存在感を示すのか期待が高まっている。
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