アメリカにて、出生した場所の国籍を付与する「出生地主義」制度を廃止することになった。
去る20日(現地時間)ドナルド・トランプ大統領は就任と同時に、アメリカ国内の不法滞在外国人の子として生まれた新生児に市民権を付与する「出生地主義」制度を見直す大統領令に署名したということが明らかになった。
トランプ氏は、アメリカ合衆国憲法修正第14条に関する論争について「アメリカで生まれた全ての人に自動的に市民権が付与されるという風に解釈したことは一度もない」と述べ、憲法の見直しに意欲を示したという。
憲法改正が行われるには議会の過半数と50州議会の4分の3の批准が必要で、現実的には難しいと言われているが、最高裁判所により見直される可能性に賭けて試す意向のように考えられている。
保守派が優勢な最高裁判所は2022年、中絶を認めた「ロー対ウェイド判決」を覆した。「ロー対ウェイド判決」は、女性の性的自己決定権の一つとして中絶の権利を法的に認めた判決である。
トランプ氏は、出生地主義に関しても見直すことができると主張しているのだ。
さらに、連邦政府機関に対し、不法移民の子どもの市民権確認書類の発行を拒否するよう指示し、公立学校、医療、住宅支援など政府サービスへのアクセスを遮断する意図を示したという。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は最近、出生地主義の歴史、現状、そして将来の展望を分析する記事を掲載し、この問題に光を当てた。
毎年、数千人の妊婦が有効ビザを持ってアメリカに入国し、子どもを出産するという「出産旅行(バース・ツーリズム)」が行われている。彼女たちは子どもが市民権を取得後、本国や第三国に戻ることが多いという。
トランプ氏と彼の支持者たちは、これを「アンカーベイビー」と呼び、揶揄しているのだ。
「アンカーベイビー」とは、子どもの市民権を通じて親や家族が公的支援や合法的な居住権を得られる場合のことを指す。
アメリカ移民政策研究所によると、2019年時点で約470万人の18歳未満のアメリカ生まれの子どもが不法滞在の親と共に暮らしているという。これは当時のアメリカの全児童のうち約7%に相当する人数だと明らかにされた。
これに対し、ピュー・リサーチ・センターは2022年の調査を通じて、不法移民の子ども6人中5人が、両親がアメリカに入国してから2年以上が経過した後に生まれているという点を指摘し、多くのケースが「出産旅行」とは無関係だと分析した。
不法移民者の両親のもとアメリカで生まれた子どもは、成人後に家族を呼び寄せて合法的な永住権を取得することができる。家族の呼び寄せによる移民は、過去1世紀にわたりアメリカの移民政策において重要な特徴となった。しかし、トランプの支持者たちはこれを「連鎖移民」と非難しているのである。
当ニュースに対し、ネットユーザーたちは「出産旅行関連の業者はきっと倒産するだろう」「アメリカの立場で考えた場合、妥当なことだ」「まだ署名しただけ。訴訟が次々と起きているから、結果を見守るべきだろう」などのコメントを残している。
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