お笑い芸人キム・ヨンチョルが、自分が注意欠陥・多動性障害(ADHD)かもしれないと疑ったが、意外な診断を受けたと明かした。彼が抱えていた問題の原因はADHDではなく「強迫」だった。
5日、YouTubeチャンネル「Psick大学」に公開された動画「キム・ヨンチョルに秋夕(チュソク)にはお年玉をくれるのか聞く」で、キム・ヨンチョルは率直なトークで近況と自らの心理的悩みを披露した。動画内で彼は英語で自己紹介をし、彼の流暢な実力に、MCたちは「本当に英語が上手だ」と感嘆せざるを得なかった。

◆「英語が理解できず衝撃、その日から独学を始めた」
キム・ヨンチョルは「22年前、カナダのモントリオールに行った際、スタンダップコメディの公演を観たが、一言も理解できず衝撃を受けた」と回想。そこから独学と暗記で英語の勉強を始めたという。蔚山(ウルサン)出身の彼は「英語を話す際、少しの劣等感が常にあった」と率直に打ち明け、「だからこそ、僕は自分を清潭(チョンダム)の人だと思っている」と笑いを誘った。
同じ蔚山出身のMCが「ヨンチョルさんの出自は隠せない」と指摘すると、彼は「ドサンの人、清潭の人と呼んでほしい。自分の出自を隠すつもりはない」と冗談交じりに返し、独特なユーモアセンスを発揮した。
◆「お笑い芸人時代は月に320万ウォン稼いでいた」
1999年KBS『ギャグコンサート』の初期メンバーであったキム・ヨンチョルは、「当時、テレビ1本あたりの出演料は20万ウォン(約2万1,324円)で、1週間に4本出ていたので、月に320万ウォン(約34万1,187円)ほど稼いでいた」と当時を振り返る。当時としては決して少なくない金額であったが、彼は「スケジュールが次々とあったため、常に精神的に忙しかった」と話し、「今思えば、その頃から散漫な一面が始まっていた」と付け加えた。
MCたちが彼の言動を見て「ヨンチョルさん、もしかして成人ADHDじゃないか」と尋ねると、キム・ヨンチョルは「実際、精神科医による2時間の検査を受けた」と語り、「医者からは『ADHDではない』と言われた」と明かした。

◆ 「ADHDではなく強迫症だった」
彼は「医者から『もしかして強迫があるか?』と尋ねられ、肯定したら『ADHDなら検査用紙を解こうとしなかったはずだ。だが逆に、あなたは完璧を追求する傾向が極めて強い』と言われた」と明かした。さらに「英語の勉強や新たな分野への挑戦も、その強迫のおかげだと指摘された」と淡々と述べた。
キム・ヨンチョルは「僕は強迫を楽しみながら生きている」と強調し、「お笑い芸人には強迫がよく見られる。舞台に立つと、全てのタイミングを完璧に計算しようとするのが職業病のように付きまとう」と説明。さらに「最近、放送局ではお笑い番組がほとんど姿を消し、新人が活躍する場所がなくなっている」と苦い思いを吐露した。
◆ 強迫症、完璧を追求するが心は不安
キム・ヨンチョルの告白を契機に、強迫症(Obsessive-Compulsive Disorder, OCD)への関心が高まっている。強迫症とは、頭の中に望まぬ考えやイメージが繰り返し浮かび、それを消すために特定の行動を何度も行う精神の健康障害である。例えば、手を何度も洗ったり、ドアが閉まっているかを何度も確認する行動が代表例だ。
専門家は、強迫症が単なる性格の問題ではなく、脳の不均衡とストレスが複合的に作用した結果であると説明する。ドーパミンとセロトニンの調節機能に異常が生じると不安感が増し、その不安を和らげるための反復的行動が習慣化する。

◆ 治療と管理、継続的な努力が必要
強迫症は早期治療により十分に改善可能である。認知行動療法(CBT)は非合理的な思考パターンを修正し、強迫的行動を減少させるのに効果的だ。さらに、薬物治療を併用すれば不安が和らげられ、思考の強度も低下する。専門家は「自分の病を否定せず、治療を開始することが最も重要だ」と強調する。
瞑想、呼吸法、規則正しい運動は症状の緩和に有効であり、完璧主義的傾向を和らげ、自分をそのまま受け入れる姿勢も大切だ。何より、家族や友人の理解と支援が回復過程において大きな力となる。
◆ 「強迫を弱点ではなくエネルギーに」
キム・ヨンチョルの事例は、強迫が単なる否定的特性に留まらず、時には集中力や推進力として働くことを示している。しかし、そのエネルギーが自己を縛る瞬間、病に転じる。専門家は「自らの強迫を制御可能なレベルに保ち、必要な時は専門家の助力を仰ぐことが最も賢明だ」と助言する。
完璧を追求し、不安に苛まれる人々が増える中、キム・ヨンチョルの告白は、笑いの裏に隠された人間性と心の病を率直にさらけ出す勇気の重要性を如実に示している。
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