今年7月の劇場公開で苦戦した制作費300億ウォン(約31億5,644万5,332円)規模の大作映画が、Netflix公開からわずか1日で1位に浮上する異例の展開を見せた。

Netflixによると、3日に配信が始まった『全知的な読者の視点から』が4日付「韓国のTOP10」映画ランキングで1位を記録した。2位『悪魔が引っ越してきた』、3位『トロール2』、4位『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』、5位『チェンソーマン 総集編』を上回り首位に立った。
劇場公開時の成績とは対照的だ。7月23日に公開された同作は、損益分岐点600万人に遠く及ばない106万人にとどまり、興行に失敗した。
人気ウェブ小説を原作とした超大作…期待に届かず劇場では不振
原作は累計閲覧数20億回を突破したシン・ション作の同名ウェブ小説としたこの映画は、制作費312億ウォン(約32億8,277万6,663円)を投じた大作で『テロ、ライブ』『PMC:ザ・バンカー』のキム・ビョンウ監督がメガホンを取った。キャストにはアン・ヒョソプ、イ・ミンホ、チェ・スビン、シン・スンホ、NANA、BLACKPINKジスらが名を連ね、注目を集めた。

公開初日には12万2,491人を動員し1位でスタートしたものの、週末の累計62万人を最後に勢いを失い、公開10日目で89万人と低迷した。公開14日目にようやく100万人を超えたが、実質的に劇場での上映は終息した。
映画は10年以上連載されたウェブ小説『滅亡した世界で生き残る3つの方法』が完結した日、小説の世界が現実化するところから始まる。唯一の読者だったキム・ドクジャ(アン・ヒョソプ)が、主人公のユ・ジュンヒョク(イ・ミンホ)、ユ・サンア(チェ・スビン)、イ・ヒョンソン(シン・スンホ)、チョン・ヒウォン(NANA)、イ・ジヘ(ジス)らと共に崩壊した世界を生き抜き、救うための旅に乗り出す物語だ。
しかし原作ファンから厳しい評価が続いた。キム・ドクジャの核心能力である「結末を知っている能力」が十分に描かれず、原作の強みを活かさない脚色が批判の的となった。キム・ドクジャのキャラクターの弱体化や設定の簡略化により、物語の深みが損なわれたとの指摘も相次いだ。

原作を知らない観客からも、世界観やキャラクター関係の説明不足が「不親切」と受け止められ、原作ファンと一般層の双方に響かなかった。
さらに、約1,500カットのうち1,300カット以上をCGが占めたものの、完成度が期待に届かず、モンスターの質感やスキル演出が「2025年の映画としては物足りない」との声も多かった。演技やアクションについても賛否が分かれた。

海外では『破墓』記録を更新…Netflixで再評価なるか
韓国国内では不振だった一方、海外では反応が異なった。特に台湾では『神と共に 第一章:罪と罰』『破墓』の公開記録を塗り替え、公開5日間のボックスオフィスで1位を獲得した。香港でも公開初日に1位となり、初週売上は310万香港ドル(約6,155万3,946円)を突破した。これは2021年以降に公開された韓国映画の中で最高記録だ。
さらに、日本・シンガポール・ベトナムなどアジア各国に加え、欧州・北米・ドイツなど、計113カ国に先行販売され、海外市場では存在感を見せた。

韓国国内の劇場では苦戦した『全知的な読者の視点から』だが、Netflix公開を機に追い風が吹き始めている。OTTで気軽に視聴できる点から、長期的な視聴拡大への期待も高まっている。
制作側が挙げる見どころとしては、キム・ドクジャがシナリオのミッションを突破する生存劇の没入感、巨大な海竜が東湖大橋を覆う場面などの迫力あるビジュアル、そして各キャラクターの個性が際立つアクションが挙げられている。
劇場公開時には賛否が分かれた作品だが、今回のNetflix展開を通じて再評価に成功できるか注目される。
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