妹の死の真相を追う、先の読めないサスペンススリラー
女優シン・ミナの結婚後初のスクリーン復帰作で、大胆な役柄への挑戦でも話題を集めているサスペンススリラー映画『瞳』(ヨム・ジホ監督)が、公開初週末に韓国映画ボックスオフィス1位を守り、好調な滑り出しを見せている。

6月28日、韓国映画振興委員会の映画館入場券統合電算網によると、『瞳』は27日、韓国全国の映画館で9万5,032人を動員した。
全体ボックスオフィスでは2位を記録し、韓国映画部門では競合作を抑えて1位を維持した。6月24日の公開以降、口コミを中心に観客を集めており、累計観客動員は21万6,305人に達している。
失われていく視界の中、妹の死の真相を追う
映画『瞳』は、遺伝性疾患によって視力を少しずつ失っていく写真家ソジンが、双子の妹の突然の死をめぐる疑惑を追う中で、衝撃的な真実に近づいていくサスペンススリラーだ。

主人公のパク・ソジンを演じるのはシン・ミナ。ソジンは、遺伝性視神経症という希少疾患によって視力を徐々に失っていく写真家だ。
ある日、ソジンより先に視力を失いながらも、強い意志で陶芸家として成功した双子の妹パク・ソインが遺体で見つかる。周囲の人々や警察は、状況からソインの死を自殺とみて事件を終えようとするが、ソジンは妹の作業室に残された痕跡から、何かがおかしいと直感する。
ソインの作業室には、不気味な陶芸作品が並んでいた。事件当日、その場に誰かがいたことを示す手がかりも見つかる。
他殺を疑うソジンの声を誰も信じない中、ソジンは自ら妹の死の裏に隠された真実を追うことを決意する。しかし調査を進めるほど、ソジンの視界はさらにぼやけていき、やがて彼女自身も犯人の次の標的として命を狙われるようになる。
事件を担当する刑事ドヒョク役はキム・ナムヒが演じる。ドヒョクはソジンの執着を警戒しながらも、視力を失っていく彼女を支え、事件の真相に近づいていく。
少しずつ明らかになる犯人の正体と事件の真実は、2人をより深い混乱へと追い込んでいく。『瞳』は、見えない恐怖を軸に、暗闇そのものよりも不気味な緊張感を描き出す。
シン・ミナ、初の1人2役で新境地
映画『母とわたしの3日間』や『ディーバ』、ドラマ『私たちのブルース』、『悪縁』など、幅広い作品で愛されてきたシン・ミナは、『瞳』でデビュー以来最も強烈な1人2役に挑んだ。

シン・ミナは、視力を失いながらも妹の死の真相を追う写真家パク・ソジンと、視覚障害を抱えながら陶芸家として成功したものの、謎の死を遂げる双子の妹パク・ソインを1人で演じ分けた。
外見は同じでも、性格や歩んできた人生がまったく異なる2人を繊細に表現し、作品への没入感を高めたと評価されている。
公開前に行われた制作報告会で、シン・ミナは作品を選んだ理由について「シナリオを初めて読んだとき、さまざまな感情を呼び起こすスリラーになるという確信があった」と語った。
さらに「1人2役という設定も魅力的だったが、妹の死を追う緊迫した状況の中で、自分自身の視力も失われていくという心理的な恐怖に強く引かれた。追い詰められた状況を演じる自分がどう見えるのか気になったし、撮影もこれまで経験したことのない新しい体験だった」と振り返った。
シン・ミナは、顔は同じでも性格が異なる2人の人物を表現するため、細かな演じ分けにも力を入れたという。
「ソジンとソインは見た目は同じだが、性格や細かな表現が違う。2人とも視力を失っていくという共通の痛みを抱えているが、ソジンの中にはソインへの複雑な感情がある。妹を大切に思いながらも、彼女の成功に対する微妙な劣等感もある。そんな妹が突然いなくなって初めて気づく感情があり、その中で自分自身も視力を失っていく。そうした細かな感情の揺れをスクリーンにきちんと表現したかった」と説明した。

シン・ミナはまた、「以前からスリラーやサスペンスへの挑戦に興味があった。今回の作品をきっかけに、今後も機会があればジャンル作品に挑戦していきたい」と話し、演技への意欲を見せた。
ヨム・ジホ監督、視覚表現に医学的監修
『瞳』を手がけたヨム・ジホ監督は、サスペンススリラーとしての緊張感を高めるため、企画段階から演出や撮影まで入念に準備したという。
制作報告会でヨム監督は、同作について「一言で言えば、人間の執着と“視線”を深く描く映画」と説明した。
特に、主人公たちが抱える希少疾患である遺伝性視神経症を映像で表現するため、医学的な裏付けを重視した。
ヨム監督は「劇中の人物が視力を失っていく過程を映画的に描く必要があったため、医学的な観点から正確な監修が必要だった。実際に眼科医を訪ね、詳しく助言を受けた」と明かした。
一方で、映画としての見やすさも考慮したという。
「観客が過度に見づらさを感じないよう、視力が低下していく段階を大きく3つに分けて表現した。近視のように視界がぼやけたり、周辺視野が暗く遮られたりする形を取り入れ、観客が主人公の感じる見えない恐怖に自然に入り込めるよう視覚効果を設計した」と説明した。
観客から「劇場で見てよかった」の声
『瞳』は公開と同時に、同時期公開の韓国映画の中で1位、全体ボックスオフィスで2位を記録し、ヒットの兆しを見せている。観客や批評家からは、サスペンススリラーならではの緊張感をうまく生かした作品だという評価が出ている。
実際に映画を見た観客からは、「息をするのも忘れるほどだった」、「最初から最後まで緊張感が続いた」、「展開が新鮮で、劇場の音響による圧迫感も良かった」といった反応が寄せられた。
また、「怖すぎて途中で席を立とうかと思った」、「通路から誰かが飛び出してきそうで、ずっと力が入っていた」、「韓国映画でこういう作品をもっと見たい」といった声も上がっている。
先の読めない緻密なストーリー、シン・ミナの新たな演技、視界を失っていくという独特の設定を感覚的に描いた演出が合わさった『瞳』。夏の劇場街でどこまで勢いを伸ばすのか、映画界の関心が集まっている。
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