映画『ハイファイブ』(カン・ヒョンチョル監督)がアジア主要国で興行シンドロームを巻き起こし、世界で韓国映画を代表する新たなヒット作として定着している。製作費約200億ウォン(約21億3,124万円)を投入した本作は、従来の韓国商業映画の枠を破る独創的な企画と痛快な想像力で観客を虜にした。

配給会社NEWは9日、「ハイファイブが香港とタイでいずれも『今年公開された韓国映画の興行収入1位』に輝いた」と発表した。6月19日に香港で公開された『ハイファイブ』は公開から4日後に今年公開の韓国映画の興行首位を獲得。タイでも試写会後の爆発的反応を受けて上映館を拡大し、6月12日の正式公開後も2025年公開韓国映画の中で1位を維持した。
現地メディアと映画ブロガーの間でも『ハイファイブ』は話題作だ。『今年必見の韓国映画』『コメディのタイミングが絶妙だ』『超能力と日常を行き来する見事な演出』など高評価が続き、Kコメディの底力を再証明したと評価されている。
『ハイファイブ』は韓国でも好成績を収めた。5月30日の公開後、総合興行収入1位でスタートし、現在までの累計観客動員数は188万人。韓国では『ヒットマン リサージェンス』『黒い修道女たち』『勝負』『野党』に続き、2025年公開韓国映画で5作目の100万人突破となった。製作費200億ウォン(約21億3,124万円)、損益分岐点約290万人とされ、観客動員はなお伸びている。

特筆すべきは、『ハイファイブ』がブロックバスター・フランチャイズではないのに口コミでヒットを牽引している点だ。刺激的な題材や定番の成功公式に頼らず、オリジナリティとキャラクター中心の物語で新鮮な面白さを届け、映画界内外の視線を集めている。
物語は臓器移植でそれぞれ異なる超能力を得た5人の平凡な人物が、その力を狙う勢力と戦う姿を描く。コミカルかつスリリングなアクション活劇が軽快に展開され、観客からは「新タイプのKヒーロー映画」との声も上がっている。

観客の反応も肯定的だ。ポータルサイトNAVERの実観覧客スコア8.59点、ネットユーザースコア8.29点(7月9日午後時点)を記録。レビュー掲示板には「韓国でこんな映画が出るなんて、笑い転げるところだった」「B級かと思いきやストーリー、整合性、演技、アクションが完璧な気軽に見られるコメディ」「最初は戸惑うが気付けば引き込まれる」「カン監督作品の中でも頂点。俳優陣も最高」「ユ・アインの悪魔的才能…アン・ジェホン、ラ・ミラン、オ・ジョンセが抜群」「ダサく見えて中毒性あり」「スケールとビジュアル、音楽まで贅沢で劇場必見」「監督・演出・俳優・BGM・編集まで全部クレイジー」「臓器移植で超能力を得る設定が驚きで面白い」「タイトルの意味は最後に分かる、衝撃のストーリー」「痛快なコミックアクションが完璧、これがカン監督だ」など称賛が相次いでいる。

『ハイファイブ』は『過速スキャンダル』『サニー永遠の仲間たち』『スウィング・キッズ』で大衆性と作品性を示したカン氏の新作。『華麗なるリベンジ』『白頭山大噴火』『ただ悪より救いたまえ』、『イカゲーム』、『ザ・グローリー』などを手掛けたベテランスタッフが参加し、製作段階から期待を集めた。イ・ジェイン、アン・ジェホン、ラ・ミラン、キム・ヒウォン、オ・ジョンセ、パク・ジニョンなど世代を問わず人気のキャストが個性豊かな演技で作品に活力を吹き込み、強固なチームワークを見せる。
カン氏は「超能力という非現実的素材を現実の人物と状況に融合し、ファンタジーでも現実の感情を描きたかった」と語り、「超能力を得た人々が日常を生きるならどう変わるかという想像から始めた。特に、ヤクルトおばさんやテコンドー道場の娘のようなキャラクターに観客が共感できると思う」と説明した。

商業性と芸術性、大衆性とメッセージのバランスを図った『ハイファイブ』は、劇場の固定公式を破り新たな可能性を示した事例と評価される。COVID-19以降に低迷した韓国映画産業での挑戦として一層歓迎されている。
損益分岐点にはまだ達してないが、海外市場での成果が韓国興行に好影響を及ぼし、OTTやVODプラットフォームへの拡張可能性も高い。何より『ハイファイブ』は興行数字以上に韓国映画のグローバル化とコンテンツ多様化に大きく貢献した点で意義深い。

2025年、K映画の新潮流を生んだ『ハイファイブ』は、韓国映画界に明確な示唆を投げかける。巨大資本より創意性、チームワーク、物語の力で勝負した作品として、一つの模範事例となっている。
映画『ハイファイブ』(Hi-FIVE)
公開 2025.05.30.
レイティング R18+
ジャンル ファンタジー、コメディ、アクション
国 韓国
ランニングタイム 119分
配給 (株)NEW
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