Netflixで先月公開された長編アニメ『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世界中で話題になっている。予想外のヒットは食品大手NONGSHIMにも思わぬ宣伝効果をもたらした。

Netflixは7日、同作が公開から2週間後に映画カテゴリー世界1位を記録したと発表した。
作品はK-POPスーパースター「ハントリックス」のルミ、ミラ、ゾーイが悪霊ハンターとして二重生活を送る姿を描く。3人は世界的人気のガールズグループでありながら、人々を悪霊から守る秘密のヒーローでもある。ファンから得たエネルギーで「魂門」を完成させ世界を救おうとする彼女たちの前に、悪霊で構成されたボーイズグループ「SAJA BOYS」が立ちはだかる。
死神、トッケビ、虎の幽霊など巫俗信仰を取り込んだ韓国的モチーフが随所に登場し、食文化も丁寧に描かれる。象徴的なのが、コンサート前にハントリックスのメンバーがカップ麺で気合を入れるシーン。商品名は「辛ラーメン」、ブランドはNONGSHIMを思わせる「DONGSHIM」だ。ゾーイの好物「辛いポテトチップス」も「セウカン」を想起させる。
公開直前にはNetflixがニューヨーク本社前でカップ麺を配るプロモーションも実施。ただしNONGSHIMと製作陣の間に公式な提携や契約はないという。

マギー·カン監督は「現代韓国を舞台に韓国文化を本格的に扱った初のアニメ映画」と強調し、「声優も歌唱も全員韓国人キャストで構成した点に意義がある」と語った。K-POPを主題に企画したわけではなく、当初から韓国文化を物語の軸に据えたかったという。
悪鬼のデザインを出発点に物語を広げ、ハンターの正体を隠す設定としてK-POPを自然に取り込んだと説明。「韓国らしい作品にするため多くの韓国人スタッフと協力し、韓国的要素を盛り込むことを皆が喜んでいた」と振り返った。
食の描写が重要になった理由について、カン氏は「子どもの頃に好きだった料理や、アニメで見たかった韓国の食べ物を入れたかった。韓国文化で食は大きな比重を占めるためだ」と話した。再現には手間がかかったが、その分こだわったという。

同作は、音楽シーンでも存在感は大きい。映画OSTは米ビルボード「Hot 100」に複数曲がランクインし、熱狂を広げている。ビルボード公式サイトによると、ハントリックスの「GOLDEN」が23位、SAJA BOYSの「Your Idol」が31位を記録。「How It’s Done」、「Soda Pop」、「What It Sounds Like」、「Free」、「Takedown」を含む計7曲がチャート入りした。
NetflixのアニメOSTがビルボードにここまで食い込むのは異例。アカデミー賞でも候補に挙がる見通しで、ビルボードは8日、ハントリックスの「GOLDEN」をOST賞部門に出品する予定と伝えた。
伝統神話を掛け合わせた新しい世界観は海外ファンにも新鮮に映り、作品は韓国文化の新解釈としても評価されている。既に快挙を積み重ねているが、今後のさらなる躍進に注目が集まる。
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