今年6月の劇場公開時、観客1,546人にとどまっていた映画『天国はない』が、Netflix公開からわずか1日で韓国映画1位に浮上し、大きな反響を呼んでいる。劇場では静かに姿を消したものの、OTTでの配信開始と同時にランキング最上位へ直行し、再評価の流れが起きている。

Netflixが20日に発表した「今日の韓国のTOP10映画」チャートで、1位を獲得した作品が『天国はない』だ。2位『フランケンシュタイン』、3位『操作された都市』、4位『グランド・イリュージョン見破られたトリック』など競合作を押さえ、公開1日で首位に躍り出た。劇場観客数が2,000人にも満たない超低予算・低認知の作品が、OTT公開直後に爆発的反応を得るという異例の事態だ。
『天国はない』は、一卵性双生児の兄弟に訪れる悲劇的運命を描いたサスペンス映画で、生き残るためには片方が犠牲にならなければならないという残酷な設定を軸に進行する。パク・ジョンピョが兄のイルドと弟のイドの1人2役を演じ、物語の中心を支える。劇場公開時には平均8.52点と高評価を記録し、一部の観客から「隠れた秀作」と評されたものの、広い層には届かなかった。

しかしNetflix公開とともに状況は一変した。劇場を離れOTTへ舞台を移したことで、パク・ジョンピョの1人2役演技と双子キャラクターの濃密な感情表現が口コミで広まり、瞬く間に「逆走」が始まった。
物語は、臓器売買組織に巻き込まれた弟イドと、生き残るため戻ってきた兄イルドが互いに刃を向け合う極限状況を中心に展開する。パク・ジョンピョは二人の人物像を微妙なニュアンスで分け、テンポの速い進行の中でも兄弟の感情線を鮮明に描き分けたと評価されている。冷酷で闇を抱えたイドと、揺らぎながらも生き抜こうとするイルドの差異を細やかに表現した点が、高い称賛につながっている。

特に双子のキャラクターが混同されないよう、表情・呼吸・視線・声色まで緻密に設計されており、早いカット割りの中でも異なる内面を説得力をもって描いた。兄弟の再会シーンや最後の決断へ向かうクライマックスは、配信後SNSで「没入感が最高」「終わっても余韻が消えない」との反応を呼んでいる。
パク・ジョンピョは近年、多様なプラットフォームで活動を広げてきた。Disney+『濁流』、JTBC『エスクワイア: 弁護士を夢見る弁護士たち』、tvN『巫女と彦星』『涙の女王』、JTBC『ヒーローではありませんが』、SBS『コネクション』、Netflix『突風』など、ジャンルの異なる作品に出演し、着実にフィルモグラフィーを築いている。今作では1人2役という難役を通じ、演技の幅を一段と評価されている。
視聴者の反応もOTTを中心に急速に広がっている。「二回目の方がさらに面白い」「久々に映画らしい映画を観た」「エンディングの一言が忘れられない」「気軽に見始めたのに最後は感動した」「オープニングもエンディングもどんでん返し」「パク・ジョンピョとイ・ホウォンの相性が抜群」など好評が続出している。

『天国はない』は劇場では日の目を見なかったものの、OTTで1位という新たな道を切り開いた。観客1,600人にも届かなかった作品が、Netflixで初日1位を獲得して示したのはただ一つ、コンテンツはいつか必ず価値を見つける瞬間が訪れるということだ。映画『天国はない』はNetflixで視聴できる。
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