孤独感が、健康と寿命に悪影響を及ぼす可能性があるという研究結果が発表された。
去る3日(現地時間)イギリスのケンブリッジ大学・ウォリック大学および中国の復旦大学の共同研究チームが国際学術誌「Nature Human Behaviour」を通じて、孤独感と社会的孤立が健康に与える影響に関する研究結果を発表した。40~69歳の成人4万2000人以上の血液からタンパク質を分析し、結果を見出したという。
当研究チームは、参加者の血中プロテオーム(人間の体内の特定細胞や特殊な状況で生成・作用するタンパク質の総体)を分析し、年齢・性別・社会経済状況などの要因を調査した。
その結果、孤独感に関連するタンパク質26種類、社会的孤立に関連するタンパク質175種類が特定され、孤独感に関連するタンパク質の約85%は社会的孤立とも関連していることが判明したのだ。
当研究チームはメンデルの遺伝法則を用いた統計的手法を通じて、社会的孤立・孤独感およびタンパク質の因果関係を調査してみたところ、孤独感によって特に多く産生されるADM、ASGR1など5種類のタンパク質を確認したという。
このADMタンパク質はストレスに反応し、ストレスホルモンやオキシトシンなどをコントロールする役割を果たしている。
また、ASGR1タンパク質はコレステロール値の上昇、心血管疾患リスクの増加と関連があり、その他のタンパク質はインスリン抵抗性、動脈硬化、がんの進行などにおいて重要な役割を果たすといわれている。
ケンブリッジ大学のチェン・シェン博士は「孤独感と社会的孤立が健康悪化と関連していることはすでに広く知られているが、その理由は十分に解明されていなかった。しかし今回、この関係において重要な役割を果たすタンパク質を特定し、特に一部のタンパク質の量が孤独感において直接的な結果として増加することが明らかになった」と述べた。
同大学のバーバラ・サハキアン教授は「今回の研究結果を通じて、社会的コンタクトや家族・友人との交流が極めて重要であるということが改めて分かる」と指摘した。
また、すでに2023年に世界保健機関(WHO)が、社会的孤立と孤独感を世界的な公衆衛生問題として位置付けたといわれている。
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