YouTube発の都市伝説が映画に、20代を中心に話題広がる
インターネット都市伝説を映画化したホラー映画『Backrooms』が、韓国公開から21日で累計観客数100万人を突破した。外画のホラー・スリラー作品が韓国の劇場で100万人を突破したのは、2019年公開のジョーダン・ピール監督作『アス』以来、約7年ぶりだ。

17日、韓国映画振興委員会の映画館入場券統合電算網によると、『Backrooms』は前日の16日に1万2,242人を動員し、累計観客数は100万219人となった。これにより同作は、今年韓国で公開された外画のうち、『プロジェクト・ヘイルメアリー』『スーパーマリオギャラクシー』『Michael/マイケル』『プラダを着た悪魔2』に続き、5作目の100万人突破作品となった。
映画は、家具店を営むクラーク(キウェテル・イジョフォー)とメリー(レナーテ・レインスヴェ)が、店の地下に隠された奇妙な空間に迷い込み、そこから抜け出そうとする脱出劇を描く。
YouTube発の怪談が世界的ヒットに

同作を手がけたのは、2005年生まれの新鋭ケイン・パーソンズ監督だ。YouTuberとして活動していたパーソンズ監督は、2022年から自身のチャンネルで関連動画シリーズを公開し、世界的な注目を集めた。その人気が映画化につながった。
今回のヒットにより、パーソンズ監督は27歳で映画『クロニクル』(2012)を手がけたジョシュ・トランク監督の記録を更新し、歴代最年少で北米ボックスオフィス1位を獲得した監督となった。
A24が製作した同作は、海外でも好調な成績を収めている。製作費1,000万ドル(約16億円)の『Backrooms』は、北米公開から6日で興収1億ドルを突破し、A24の北米興収記録を更新した。さらに公開10日で世界累計興収2億1,260万ドル(約340億円)を記録し、A24史上最大の世界的ヒット作となった。
米興行収入データサイトBox Office Mojoによると、同作の世界累計興収は現在、製作費の20倍を超える2億4,900万ドル(約400億1,500万円)に達している。
韓国でのヒットは、トレンドに敏感な若い世代の支持が大きいとみられている。CGVの年齢別予約データでは、20代の割合が38〜39%で最も高く、10代と30代もそれぞれ19%を占めた。男女比は男性53%、女性47%で、比較的バランスの取れた分布となっている。
SNSを中心に広がったミーム文化も、観客動員を後押しした。インターネット怪談の世界観に親しんできた若い観客は、鑑賞後に結末の考察や世界観の解釈を活発に投稿している。さらに、地下鉄の乗り換え通路や夜の無人駅など、日常にある黄色い照明の廊下を映画の空間になぞらえて投稿する動きも広がった。こうした口コミが追い風となり、『Backrooms』は公開3週目で100万人突破を達成した。
不気味な「リミナルスペース」が恐怖を生む
映画『Backrooms』は1990年代初頭を舞台に、日常的でありながらどこか異質な空間「リミナルスペース」の恐怖を描いている。リミナルスペースとは、通路や空き店舗、無人の施設のように、見慣れているのに人の気配が薄く、不安を誘う空間を指す。

主人公のクラークは、妻と別居中のアルコール依存症者で、建築家としても挫折を抱えている。生活のため、「キャプテン・クラークのオットマン・エンパイア」という大型ディスカウント家具店を営み、家庭の問題から店内の展示用ベッドで夜を過ごす不安定な生活を送っている。
クラークは、虐待的な母親との記憶や幼少期の傷を抱えながら、心理療法士のメリー・クラインによるカウンセリングを受けている。
ある夜、家具店の地下でブレーカーを点検していたクラークは、点滅する光の中で、壁に奇妙に光る裂け目を見つける。そこへ近づいた瞬間、クラークは現実の壁をすり抜け、物理世界から切り離された巨大な多次元空間「Backrooms」へ落ちてしまう。
Backroomsは、古びた黄色い壁紙が果てしなく続き、天井の蛍光灯が独特の音を放つ迷路のような空間だ。歪んだ通路や部屋が無秩序に広がり、現実世界を不完全にまねたようなその場所は、登場人物たちをじわじわと追い詰めていく。


突然姿を消したクラークを心配したメリーは、事件の真相を追ううちに、家具店の地下通路からBackroomsへ足を踏み入れる。未知の空間で迷子になったクラークを探し出し、そこから脱出しようとする中で、2人は単なる迷路以上の恐怖に直面する。
そこに広がっているのは、自分たちの行き詰まった人生や内面の恐怖が映し出されたような超現実的な空間だった。2人はその空間をさまよう正体不明の存在とも向き合うことになる。
観客からは「じわじわ来る恐怖」と好評
実際に映画を観た観客の反応も上々だ。ネイバー映画の観覧評など主要プラットフォームには、同作ならではの緊張感や独創性を評価する声が相次いでいる。
特に目立つのは、単に驚かせるだけではない心理的な演出への評価だ。観客からは「よくあるホラー映画とは違う」、「驚かせるより、雰囲気で息苦しくさせる映画だった」、「家に帰る途中、何度も後ろを振り返ってしまった」といった感想が寄せられている。
ジャンルとしての新鮮さや没入感を評価する声も多い。「脱出の過程が生む圧迫感と恐怖がすごい」、「久しぶりに新しいタイプのホラーを見た」、「最初から最後まで退屈しなかった」といった反応が並んだ。
映像美や空気感についても、「脳裏に焼き付いて離れない湿った恐怖」、「思っていたより深い作品だった」との声が上がっている。
YouTuberから商業映画監督へと転身したケイン・パーソンズ監督の演出にも注目が集まった。観客からは「音響と空虚さを生かした演出が見事だった。原作者を監督にしたことも大きい」、「心理的に迫ってくる恐怖が圧巻で、次回作が気になる」といった評価が寄せられ、作品の完成度を支持する声が広がっている。
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