発売するアルバムごとに、ビルボードアルバムチャート1位を記録する人物が存在する。今回も、新アルバム発売と同時に『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』のアルバムを退け、1位を獲得した。
その正体は「タイラー・ザ・クリエイター」(以下、タイラー)だ。彼は現在、米国屈指のラッパーの一人として、批評家や一般から高い評価を受け、抜群のスター性と圧倒的な人気を誇っている。

わずか4日でビルボード1位を制覇
タイラーの新アルバム『DON’T TAP THE GLASS』も、発売と同時にビルボードアルバムチャート1位を記録し話題となっている。今回の記録が特に驚くべき理由は、発売日が不利な条件であった点にある。
『DON’T TAP THE GLASS』は先月21日(月)に発売されたが、これは現行のビルボードチャート集計方式では不利な条件となる。ビルボードアルバムチャートは、毎週金曜日から木曜日までの1週間分のデータを集計するため、今回のアルバムは3日分の集計となった。
それにもかかわらず1位を記録したのは、フィジカルアルバム(ビニールLP、CD等)の販売が大きく寄与したと見られる。

ビルボードアルバムチャートの集計基準は、アルバム販売量+ストリーミング視聴回数+楽曲ダウンロード数の3要素である。その中でストリーミング視聴と楽曲ダウンロードでは他のアルバムに遅れをとったが、発売前の予約注文によるフィジカルアルバムの販売が十分に競争力を発揮した。ビルボードニュースによれば、実際に19万7,000枚のアルバム売り上げのうち12万8,000枚がフィジカルアルバムの売上であった。
タイラーはInstagramを通じて「このアルバムを聴いてくださったすべての方に感謝します。こんな短期間で1位を獲得できるとは、本当に大きな意味があります」とコメントした。
今回の記録は、4枚連続でビルボードアルバムチャート1位デビューを果たした快挙を示しており、その意義は非常に大きい。2019年発売の『IGOR』、2021年の『CALL ME IF YOU GET LOST』、2024年の『CHROMAKOPIA』、そして今回発売された『DON’T TAP THE GLASS』まで、彼の影響力はますます拡大している。

ファッション+音楽+映像、万能アーティスト・タイラー
タイラーの音楽は、その高い芸術性で知られている。多様なサウンドとサンプリングを駆使し、前衛的でありながらもポップな感性が光る。荒々しいベースと対照的な甘美な楽器音、さらにオートチューンを用いたR&B的要素と力強いラップが、彼の音楽の魅力となっている。
また、次第に強まるレトロな雰囲気も特徴的で、特に『IGOR(2019)』と『CALL ME IF YOU GET LOST(2021)』は、彼の現代音楽の頂点と評価されている。

タイラーは、ファッション面でも才能を発揮している。自身のブランド「GOLF WANG」は人気ストリートブランドとして定着しており、近年ではラグジュアリーブランド「Le Fleur」の展開やLouis Vuittonとのコラボレーションを行うなど、デザイナーとしても注目されている。
そのセンスの良さはミュージックビデオにも表れており、多彩なパステルトーンやフィルムカメラ風のフィルターが、かつてのアメリカを彷彿とさせる。

彼は、9月13日(土)に来日コンサートを開催する。昨年10月28日に発表されたアルバム『CHROMAKOPIA』の一環として行われる2025年ワールドツアーの公演であり、キンテックスにて開催される。これまでタイラーの数多くの楽曲をライブで聴く絶好の機会となる。
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