映画『ノイズ』が2025年のスリラー映画最高興行作の称号を獲得した。

映画振興委員会の映画館入場券統合ネットワークの集計によれば、6日午前時点で『ノイズ』は累計観客動員数170万名を記録。これは今年初めに公開された『黒い修女たち』(167万559名)を上回り、本作の興行熱を裏付けている。
本作は公開初期からハリウッドブロックバスターの激戦の中でも着実に観客動員数を伸ばしており、公開後18日間で100万名の観客を突破、26日目には150万名に達した。海外大作と競合する中でこの成果は、特筆に値する。
アンダードッグとして始まった『ノイズ』は、興行ダークホースを経て、映画祭招待や海外公開にも成功。現実の騒音トラブルという題材をホラー・スリラーに昇華させ、観客の没入感を高めた。新人監督キム・スジンの才能が光る作品である。
今週より日本と台湾でも正式公開され、グローバルな興行勢いを維持する見通しだ。


ハリウッドの激戦をものともせず『ノイズ』が生き抜いた理由
物語は、騒音トラブルで騒ぐアパート団地を舞台に、失踪した弟を捜す姉・ジュヨン(イ・ソンビン)の軌跡を描く。聴覚障害を持つジュヨンが、騒音の中に隠された真実へ迫る過程で、恐怖と謎が展開される。現実的な問題を背景に、超自然的な恐怖も融合させることで、これまでにない没入感を提供している。聴覚障害という設定が緊張感を高め、進行する事件は解決されずむしろ広がるミステリーとして観客の興味を引く。予測を裏切る展開が新鮮さを与え、鑑賞後も深い余韻を残す。

観客の口コミが呼び起こした、アンダードッグの興行成果
本作は、37億ウォン(約3億9,459万円)という低予算ながらも、160億ウォン(約17億633万円)以上の売上を記録し、制作費の4倍以上の収益を上げた。これは2025年公開の韓国映画の中で全体7位に相当する成績である。一方、『黒い修女たち』は103億ウォン(約10億9,851万円)の制作費を投じ、167万人の観客動員を記録している。スター俳優や有名監督を前面に出す他作品と異なり、『ノイズ』は新人監督のキム・スジンと、イ・ソンビン、キム・ミンソクなど、新進俳優が中心となっている点が大きな特徴だ。
高い完成度と口コミにより、100万人の損益分岐点を突破し、最終的に160万人の観客動員を実現。初週を上回る第2週の逆走興行は、作品の魅力と口コミの力を証明するものとなった。

海外でも高く評価される完成度
『ノイズ』は韓国に留まらず海外でも大きな評価を受けている。最近ファンタジア映画祭で上映され、「キム・スジン監督は感覚的かつ本能的な恐怖表現で観る者を震撼させ、既存の物語構造を新たな恐怖へと巧みに昇華させた」(Cinapse)、「耳を引き裂くような恐怖体験を提供する作品」(Screen Anarchy)、「徐々に迫り来る恐怖と激しい感情の爆発が交錯するスリラーとして見事に仕上がっている」(Eye for Films)と、 海外メディアから高評価を得ている。
『ノイズ』は、伝統的なホラースリラーの枠を超え、現実と超自然、聴覚と沈黙という異なる要素を融合させた新たなジャンルの域に達している。物語が終わっても、その余韻が観客に深い印象を残す。

イ・ソンビンは本作にて俳優としての新たな一面を示し、キム氏は長編デビューながら鮮明な演出とジャンル解釈力で強烈な印象を残した。堅実な企画と演出、そして俳優陣の好演が融合し、興行以上の深い感動を生み出している。ハリウッドブロックバスターの中で堂々と存在感を放つ『ノイズ』は、2025年の韓国スリラー映画界における輝かしい成功例となるだろう。
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