Netflixで最近公開された日本ドラマ『クロサギ(2022年版)』が2006年の同名ドラマを再解釈したリメイク作品である点から注目を集めている。

本作は2022年に放送された全10話のシリーズで、詐欺犯罪のデジタル化・組織化が進んだ現代の犯罪傾向を反映して物語が展開されるのが特徴だ。原作から約16年を経て再制作されたこともあり、詐欺手口や事件構造、人物の動きまで時代に合わせて精密にアップデートされ、R19指定となった。
物語の中心にいるのは、家族を失った主人公クロサキだ。父が詐欺被害に遭ったことをきっかけに家族が崩壊した過去を持ち、自身を破滅へ追いやった詐欺師ミキモトへの復讐のため「クロサギ」という名を使い、詐欺師だけを標的に詐欺を仕掛ける人物へと変貌する。原作が「被害者と詐欺師の関係」を軸にしていたのに対し、リブート版は「詐欺師を騙す詐欺師」というねじれた構図を中心に据え、物語の緊張感を高めている。
リブート版では、フランチャイズ開業詐欺、M&A詐欺、闇取引詐欺、融資目的外の不正利用詐欺など、2020年代の日本で実際に増加したビジネス型・金融型の犯罪が登場する。各詐欺手口は実例の構造を参考に脚色され、事件の進行そのものがドラマ内の対立構図に直結することで、強い現実味を持たせている。全エピソードは単発事件の並列ではなく、主人公の復讐の旅路が一本の大きな物語としてつながる構成となっている。

主演の平野紫耀は、クロサキが抱える復讐心や葛藤、冷酷さと人間的揺らぎといった多様な内面変化を軸に演技を展開した。単なるアクション主体のキャラクターではなく、感情描写を中心とした人物として描かれているため、劇中では心理描写の比重が大きい。共演には黒島結菜、井之脇海, 三浦友和らが名を連ね、クロサキと絡む詐欺事件の軸を担う。演出は田中健太、石井康晴、平野俊一が務め、原作の空気感を残しつつ、2022年版のスピード感と質感を反映した。
2006年の原作『クロサギ』は、詐欺をテーマにしたドラマの中でも高い知名度を持つ作品だった。リブート制作の背景には、原作の人気と、2020年以降の日本で急増した金融・投資・ビジネス詐欺が社会問題となり、それを作品に反映する余地が大きくなったことがある。2022年の放送当時、視聴率は約6%から9%台で推移し、初回は9.2%を記録したとされる。視聴率の変動は大きくなかったが、予測しにくい詐欺手口の説明や、反転を重ねる展開、人物間の心理戦がシリーズの強みとして評価された。

Netflix公開後は視聴数と検索量が着実に増加している。リブートという特性に加え、R19指定のドラマという要素が相まって関心が続いている。シーズン全話がすでに公開されているため物語の流れが途切れにくく、途中離脱も少ないとされる。作品は犯罪復讐劇の構造を維持しつつ、実際の詐欺パターンを取り入れて事件を構成した点で、視聴者が感じる「現実味の高さ」が特徴となっている。
『クロサギ(2022年版)』は、原作のストーリーを土台に現代の詐欺犯罪の具体的手口を組み合わせて再構成された犯罪・復讐ドラマで、現在Netflixで全10話が視聴可能だ。
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