今年上半期の韓国映画界は、明確な回復基調を見せた。新型コロナウイルス禍の影響やOTTプラットフォームの急成長、映画料金の上昇などにより、韓国映画の低迷が指摘されてきた中で、劇場に再び活気を取り戻したことには大きな意味がある。
その中心に立ったのが、投資・配給会社のショーボックスだ。『サヨナラの引力』を皮切りに、『王と生きる男』、『サルモクチ』、『群体』まで、ジャンルの異なる韓国映画を相次いでヒットさせた。
実際に、2026年上半期の韓国映画興行ランキング上位3作品はいずれもショーボックスの配給作だった。

1位『王と生きる男』…歴代興収2位の大記録に
今年上半期の韓国映画市場を象徴する作品は、チャン・ハンジュン監督の『王と生きる男』だ。同作は累計観客数1,690万人を記録し、上半期の興行を大きく押し上げた。
この数字は、上半期のヒット作である『サルモクチ』の324万人と『群体』の560万人を合わせても届かない規模だ。『王と生きる男』は、今年上半期の劇場売上をけん引した圧倒的なヒット作となった。

『王と生きる男』は、史実に想像を加えた時代劇だ。旧正月連休に公開された後、緻密な物語とユ・ヘジン、パク・ジフンらの熱演が口コミで広がり、幅広い世代の観客を引きつけた。
物語は朝鮮王朝時代を背景に、癸酉靖難(きゆうせいなん)によって王位を追われた若き王、李弘暐(イ・ホンウィ)の流刑を描く。王座を奪われ、心身ともに傷ついた李弘暐は、江原道寧越(カンウォン道ヨンウォル)の山里へ送られる。
一方、村長の厳興道(オム・フンド)は、深刻な飢饉に苦しむ村を救うため、清冷浦(チョンリョンポ)を朝廷の正式な流刑地にしようと奔走していた。村を立て直す期待を抱いて迎えた流刑者が、王位を追われた若き王だったことで、物語は大きく動き出す。
厳興道は、流刑地を管理する保守主人(お世話役)として、李弘暐の一挙手一投足を監視し、朝廷に報告しなければならない立場に置かれる。しかし、生きる気力を失った李弘暐の姿をそばで見守るうちに、次第に心を動かされていく。
監視する者と監視される者の間に芽生える奇妙な連帯が、観客の心を動かした。

『王と生きる男』は最終的に1,690万人を動員し、韓国映画史上最高の興行成績を記録した『バトル・オーシャン 海上決戦』(2014年、1,761万人)に迫る成績を残した。韓国歴代興行ランキングでも2位に当たる記録を打ち立てた。
さらに、パンデミック後の韓国映画で最多観客数を記録していた『ソウルの春』の1,312万8,080人を上回り、パンデミック後に公開された韓国映画として最高の興行成績を新たに更新した。
2位『群体』…集団知能を持つゾンビの恐怖を描く
ショーボックスの上半期ラインナップで2位となった『群体』は、韓国ゾンビ映画を代表するヨン・サンホ監督の新作だ。累計観客数は560万人を記録した。
同作は、正体不明のウイルス感染により外部から遮断された都心の超高層ビルを舞台にする。孤立した生存者たちが、予測できない形で進化する感染者に立ち向かい、生き残ろうとする過程を描いた作品だ。

物語の舞台は、ソウル中心部にある超高層ビルだ。原因不明の集団感染が発生し、ビルは瞬く間に制御不能の状態に陥る。政府と軍によって建物全体が封鎖され、内部に残された人々は救助の手が届かないまま孤立する。
感染初期の感染者は、理性を失って地面をはい回る存在として描かれる。しかし時間がたつにつれ、彼らは奇妙な形で進化していく。二本足で歩き始め、人間と感染者を識別し、さらに集団で組織的に生存者を追い詰めるようになる。

生存者側の中心となるのは、生命工学者のクォン・セジョンだ。セジョンと生存者たちは、自分の体にワクチンを投与したと主張する謎の通報者ソ・ヨンチョルを確保しようと動き出す。
一行は、外部の救助隊が待機する屋上を目指す。しかし階を上がるほど、ビル内部の状況は人間の予測を超えて不気味に変化していく。さらに、ワクチン保有者と信じられていたソ・ヨンチョルが、進化した感染者を手下のように従え、生存者たちの前に立ちはだかる。
『群体』は公開直後から、既存のゾンビ映画の枠を広げた作品として評価された。個別に動くゾンビではなく、集団知能を持ち、情報を共有しながら学習し続ける感染者という設定が、作品全体の緊張感を高めた。息つく暇のない展開とサスペンスも、観客と批評家から高く評価された。
3位『サルモクチ』…韓国ホラー復活を印象づけた話題作
ショーボックスの上半期興行で3位となった『サルモクチ』は、累計観客数324万人を動員した。韓国ホラー映画としては大きな成果を収め、ジャンル映画の底力を見せた。
同作は、奇妙なうわさが絶えない謎の貯水池「サルモクチ」を舞台にしたホラースリラーだ。インターネットポータルサイトのロードビュー画面に正体不明の影が写り込み、再撮影のため現地に向かった外部制作の撮影チームが、黒く深い水の中に潜む何かと向き合うことになる。

ロードビューに写ってはならないものを確認した制作チームは、その日のうちに再撮影を終えなければならない状況に追い込まれる。プロデューサーのスインとスタッフたちは、サルモクチ貯水池へ向かう。
しかし撮影が始まると、かつてその場所で行方が分からなくなっていた先輩のキョシクが突然姿を現す。そこから、科学では説明できない不気味な出来事が相次ぎ、撮影現場は一気に制御不能の状況へ変わっていく。
スタッフのギテは、危険にさらされたスインを救おうと必死に動く。しかし逃げようとすればするほど、一行は出口の見えないサルモクチの深みへ引き込まれていく。

『サルモクチ』の総制作費は約3億1,500万円で、韓国映画の平均的な制作費を大きく下回る中低予算作品に分類される。それでも同作は、限られた予算を企画力と演出で補い、観客の心理を締めつける緊張感を最後まで保った。
特に、現場感を高めるファウンド・フッテージ形式の演出が効果を発揮した。観客が登場人物とともに貯水池に閉じ込められたように感じられる構成が、作品への没入感を強めた。
『王と生きる男』、『群体』、『サルモクチ』の相次ぐヒットにより、ショーボックスは2026年上半期の韓国映画市場で強い存在感を示した。時代劇、ゾンビスリラー、ホラーという異なるジャンルの作品がそろって観客を集めたことは、韓国映画市場の回復を印象づける結果となった。
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