故イ・ソンギュンを脅迫して巨額をゆすり取った遊興店マネージャーと元女優が、控訴審で一審より重い刑を言い渡された。

仁川(インチョン)地裁刑事控訴3部(チェ・ソンベ部長裁判官)は16日、恐喝などの容疑で起訴された遊興店マネージャーA氏(31)に対し、一審の懲役3年6月を破棄し懲役5年6月を言い渡したと明らかにした。
A氏は6月26日に保釈で釈放された状態で控訴審を受けていたが、この日重刑を言い渡され、その場で直ちに収監された。
裁判部はまた、同じ容疑で起訴された元女優B氏(30)に対しても、一審の懲役4年2月を破棄し懲役6年6月を言い渡した。
裁判所はA氏に対する量刑理由について「自分を信頼する被害者に対し(B氏が要求した金額より)さらに多額を要求した」「被告は被害者(俳優イ氏)を脅して恐怖心を与え、被害者は憶測報道が出ると極端な選択をした」と指摘した。
続けて「被告が死亡の原因を提供したことは否定できず、遺族はいまも極度の苦痛を訴えており、被害も回復していない」「保釈後の態度を見ても、被告が本当に反省しているのか疑問だ」と強調した。
B氏に対してはさらに辛辣な批判を浴びせた。裁判部は「被告は麻薬事件を口実に有名俳優を恐喝しようとしたが未遂に終わり、奪った金を分けてもらえなかったため自ら恐喝に乗り出した」「使い捨てSIMカードを複数購入し、ハッカーを装って犯行を重ねるなど、犯行態様が悪質だ」と叱責した。
さらに「目的を達成するまで手段と方法を選ばず犯行を続けた」「世間の反応に敏感な有名俳優に恐怖心を抱かせ、極端な選択の原因を提供したと見ざるを得ない」と断罪した。
事件の発端は2023年9月にさかのぼる。A氏は当時、俳優イ・ソンギュンに電話をかけ「携帯がハッキングされ脅迫を受けている、口止めのために金が必要だ」として3億ウォン(約3,201万円)を要求して奪い取った容疑で拘束起訴された。
その後、捜査の過程でA氏を脅迫していたいわゆる「ハッカー」の正体が明らかになった。警察の調べで、そのハッカーはA氏と同じマンションに住み親しい関係を続けていたB氏であることが判明した。
B氏はA氏がヒロポンを使用していた状況を把握していただけでなく、故イ・ソンギュンとも親交があることを知っていた。こうした情報をもとに違法SIMカードを購入してハッカーに成りすまし、A氏を脅迫した。
しかしB氏はA氏から金を得ることに失敗すると戦略を変更した。2023年10月、故イ・ソンギュンを直接狙い1億ウォン(約1,067万円)を要求して脅迫し、最終的に5000万ウォン(約533万円)を奪うことに成功した。
B氏は過去にも詐欺容疑で実刑判決を受けた前歴のある常習犯で、2012年と2015年制作の映画に端役で出演した経歴を持つ元映画俳優だった。

裁判部はA氏について「自らの過ちを認め反省している点は有利に働く事情だ」としつつも「しかし、害悪の告知を超えて自分を信頼している故イ・ソンギュンを相手に卑劣と言えるほどの恐喝を行った」と評価した。
特に「自分の麻薬容疑にイ・ソンギュンを巻き込んだかのように欺くなど、イ・ソンギュン死亡の原因を提供したことは否定できない」「遺族からも許しを得ておらず、保釈後の態度を見ても被告が真摯に反省しているのか疑わしい」と厳しく批判した。
B氏については「有名人である故イ・ソンギュンの私生活を利用して恐喝し、使い捨てSIMカードを複数購入するなど目的達成のために手段を選ばない悪質な犯罪を犯した」と断じた。
また「故イ・ソンギュンに極度の恐怖心を抱かせて極端な選択に至らせ、詐欺罪で処罰された後も再び犯行に及んだことで遵法意識の欠如を証明した」と強く叱責した。
A氏とB氏は同じマンションに住み、姉妹のように親しく過ごしていたとされる。B氏はA氏が麻薬を摂取した状況と故イ・ソンギュンとも親交がある事実を把握し、これを悪用して犯行に及んだ。
当初A氏も自分を脅迫した人物がB氏であるとは知らなかったが、警察の捜査段階でその事実が明らかになった。B氏は2023年10月13日から17日まで故イ・ソンギュンを直接脅迫し5000万ウォン(約533万円)を奪った容疑で起訴された。
一方、麻薬などで前科6犯のA氏は、本件とは別に2022年12月10日から昨年8月19日まで3回にわたりケタミンとヒロポンを授受した容疑でも起訴され、昨年10月に懲役1年を言い渡されている。
今回の控訴審判決により、両被告とも一審より2年以上重い刑を受けることになった。裁判部は、特に故イ・ソンギュンの死に直接的または間接的な原因を提供した点と、遺族が依然として極度の苦痛を訴えている点を重要な量刑要素として考慮したと説明した。
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