
韓国の慶尚南道・山清郡で発生した山火事の消火作業中、慶尚南道・昌寧郡所属の公務員が死亡する事故が発生した。これを受け、山火事発生時に一般公務員が事実上強制的に動員されている現状に対し、批判の声が高まっている。
21日に山清郡で発生した大規模な山火事は発生から3日目に突入し、森林を焼き尽くす勢いで拡大を続けている。この過程で、消火作業にあたっていた消火隊員3名と30代の昌寧郡所属の公務員・カン氏が死亡したことが明らかになった。しかし、殉職した彼らを悼む間もなく、火災現場では今もなお公務員や消火隊員たちによる消火活動が行われているという。
カン氏の遺族は、消防の専門職でもなかった彼が、なぜ山火事の消火作業に投入されたのか疑問を呈している。
カン氏の父親は「消防士でもなければ専門家でもないのに、なぜ無理に現場に投入されたのか、真相の解明が必要だ」と怒りを露わにした。母親も「寝る間も惜しんで勉強し公務員になったのに、どうしてこんなことで命を落とさなければならないのか」と声を震わせ、現実を受け入れられずにいると伝えられた。
韓国の郡単位の地方自治体では、大規模な山火事に備えて約200人規模の「公務員消火隊」を編成している。山火事が発生すると、彼らは本来の業務を中断し、現場に駆けつけて消火活動を行う仕組みとなっている。
しかし、一般行政職の公務員が火災対応といった高リスク業務に動員される現状には、構造的な問題があるとの指摘も出ている。
かつて全羅南道のある郡で公務員として勤務していたC氏は「赴任して間もない頃、山火事の消火作業に投入され、水の入ったタンクを背負って消火活動にあたった」とし「残火処理作業と聞いていたが、火が再び激しく燃え上がることも多く、専門知識もないまま現場に投入されて大きな事故につながるのでは、と恐怖を感じた」と語った。

多くの公務員は、火災の消火に関する専門的な訓練を受けていないまま現場に投入されているという。防火衣などの防護装備も十分に支給されていないケースが多いのだ。C氏も防火衣が不足していたため、ナイロン製の黄色い民防衛服を着用して山火事の消火にあたらざるを得なかったと説明した。
こうした状況を受け、山火事が発生するたびに公務員の安全が無防備なまま危険にさらされているという構造的な問題の是正を求める声が高まっている。
韓国の全国公務員労働組合・慶尚南道地域本部も、今回の事故を「重大災害」と位置付け、徹底した捜査を求めている。組合は「大規模な山火事の消火作業は、まずヘリコプターによる対応が優先されるべきであり、公務員と消火隊員は火勢がある程度収まった後に防災車で現場に接近し、消火の補助や残火処理などにあたるのが常識だ」と指摘し、カン氏の死は人災だと見なしているという。さらに、組合は「山火事現場の総括指揮を担った慶尚南道が、安全対策義務など関連法令に違反していなかったかどうかについて、警察による迅速かつ徹底した捜査が必要だ」と主張していることが明らかにされた。
また、公務員のK氏は「山火事の消火に関する訓練や知識もない一般公務員を、何の準備もなく現場に投入するのは大きな問題だ」と述べた。
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