韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の非常戒厳令宣言により、去る3日の夜、特殊戦争司令部(特戦司)の隊員たちが国会に投入されたものの、対北朝鮮作戦と誤解し、パニック状態に陥ったという当時の状況が明らかになった。
去る3日の夜、ソウル・汝矣島の国会に特戦司の隊員らが投入された。しかし、彼らはヘリコプターに搭乗した後も、どのような作戦に投入されるのか正確な任務を伝えられていなかったということが判明した。この情報は6日、朝鮮日報を通じて報じられた。
報道によると、特戦司の隊員らは3日の夜に部隊側から「北朝鮮関連で、非常に深刻な状況だ」「直ちに出動できるよう、銃器を準備せよ」との指示が下されたという。しかし、正確な任務内容の把握はおろか、国会の構造さえも把握できていないまま着陸を強いられたのだ。
彼らは、同日の午後4時から「特殊航空団が練習ではなく、実際に作戦を行っている最中だ」との情報を同僚から聞いたが、正確に状況を把握してしる者はほとんどいなかったという。ある特戦司隊員は、バスに乗るまで目的地を知らされず、降車後に国会だということに気づいたとし「上層部に裏切られたような気分になった」と語った。
第1空挺旅団のある隊員は「国民の皆様に大変申し訳ないと思っている。僕たちを見て驚いた様子の市民たちの表情を忘れることができない」と述べ「政治的判断で僕たちを国会に投入したのだろうと思った。僕たちは国会の構造を全く知らなかったため、これが実際に戦闘状況だったとしたら、きっと全滅していただろう」と告白した。
作戦投入前に「弾倉を整理して出動準備をした」という特戦司隊員Aさんは、ヘリコプター搭乗直前に「ソウルの国会へ向かう」との命令を聞いて動揺したという。彼は、作戦投入前にも建物の構造や地形分析などについて伝えられないまま着陸し「本当に呆れてしまった」と述べた。
Aさんは「国会に侵入してからもしばらくの間、具体的な命令が下されなかった」とし、後になって上層部から「国会議員を全員引きずり出せ」との指示を受け、やむを得ずガラスを割って本庁へと侵入したと説明した。
戒厳事態収拾後に疑問視された特戦司隊員らの迅速さを欠いた作戦遂行について「命令であるため従ったものの、武装していない民間人に対して707特殊任務団がショットガンを持って突入していくなんてやり過ぎだと思った」と明かした。
当時、戒厳軍の国会侵入映像が拡散後、一部では特戦司による作戦遂行の不器用さに対する指摘が相次いだのである。これに関して一部のネットユーザーは、特戦司も市民を傷つけてしまうことがないよう、わざと消極的に作戦に臨んだのではないかとの見解を示した。
Aさんは「本気を出していたら、きっと10~15分で制圧できたはずだ」と述べ「わざと走ったりせず、歩いて作戦を遂行した」と説明した。
また、特戦司隊員Bさんは、戒厳軍の実弾所持疑惑について「実弾は携行せず、訓練用の非殺傷弾(UTM)を携帯していた」とし「被弾した場合かなり痛いが、殺傷力のない練習用の弾である」と述べた。
国会国防委員会所属の共に民主党のパク・ソンウォン議員は、去る4日、特戦司隊員らが受け取ったというメッセージ内容を公開し「軍指揮部側が、まるで北朝鮮関連の事態に投入されるかのように、一部の兵士たちを騙した」と主張した。
当メッセージには「北朝鮮関連で深刻な状況であり、直ちに出動しなければならない可能性がある」「国防部長官が、事態発生時には707特殊任務団を要請すると述べている」との内容が含まれていたのだ。
ある軍事専門家は、この日の騒動について「軍隊は唯一の合法的な武力機関だ」とし「大統領の非常戒厳令は国民の日常を混乱状態へと陥らせただけでなく、国民を守る使命感によって支えられている軍の忠誠心にも取り返しのつかないような傷を与えた」と指摘した。
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