世界各国で航空機事故が相次ぎ、旅行者たちの間で懸念の声が高まっている。予約した航空券をキャンセルする乗客も見られるなど「飛行機恐怖症」が広がりつつある中、航空業界の対応や政府の安全対策に注目が集まっている。

昨年12月29日、韓国の務安国際空港の惨事により179名が死亡し、人々に大きな衝撃を与えた。それからわずか1か月後の先月28日には、金海国際空港でエアプサンの旅客機で火災が発生したことが明らかにされた。そして、翌日の29日(現地時間)には米・ワシントンD.C.近郊で国内旅客機と軍用ヘリが衝突し、搭乗者64名全員が死亡するという大惨事が起きた。また、31日には米・フィラデルフィア中心部で小型機が住宅街に墜落し、6名が死亡する事故が発生したと伝えられた。

相次ぐ航空機事故のニュースに対し、旅行者たちの不安が増大しているという。最近、旅行関連のオンラインコミュニティやSNSでは「パッケージツアーをキャンセルすべきか迷っている」という投稿が相次いでいると伝えられた。
一連の航空機事故は、格安航空会社(LCC)の利用率低下につながった。韓国の国土交通部の航空ポータルシステムによると、昨年12月29日のチェジュ航空事故前後の26日間の国内主要LCCの旅客輸送実績が減少したという。チェジュ航空は29.3%、ジンエアは10.4%、ティーウェイ航空は5.6%減少した一方で、大韓航空とアシアナ航空はそれぞれ約2%の減少にとどまったことが明らかになった。
しかし、務安空港事故が発生した時とは異なり、今回のエアプサンの事故による大規模なLCC予約のキャンセルや変更などは確認されていないという。

エアアジアの関係者はウィキトリーを通じて「連休中に売上がやや減少したが、連休期間によく見られる傾向であり、今回の事故による目立ったキャンセル率の上昇などは今のところ確認されていない」と述べた。また、旅行会社に一括販売したパッケージプランを含め、全体的に大きな影響はなかったと伝えた。
また、金海国際空港で発生したエアプサン旅客機の火災原因がモバイルバッテリーであったことに対し、韓国政府や航空業界はリチウムバッテリーの機内持ち込み基準強化を検討しているという。韓国政府はモバイルバッテリーを機内に持ち込む際、ビニール袋に入れることを義務付ける案を考えているようだ。航空業界もモバイルバッテリーを棚に置かず、直接所持するよう案内しており、その理由として棚に置いて火災が発生した場合、初期対応が遅れてしまう可能性があるからだと説明した。
エアプサンは7日からモバイルバッテリーの所持状況を搭乗口で確認し、確認された手荷物のみ棚に収納できるようにする計画だと発表した。また、予約、発券、搭乗手続きの各段階でモバイルバッテリーを機内の棚に置いてはならないという内容を表示し乗客の同意を得た後、出発前にも案内メッセージを送信する予定だという。
機内アナウンスも従来の2回から3回に増やすということが明らかにされた。エアプサンは機内アナウンスをより具体的で明確な内容へと改善し、先月31日から変更内容を適用させている。
また、客室乗務員の訓練も大幅に強化する方針だと伝えられた。エアプサンは教育用の消火訓練デモ動画を自社制作し、全乗務員を対象に即時教育を実施し、火災の段階を考慮した状況ごとの模擬訓練も同時に行うと発表した。社屋内の消火訓練施設も改善する計画だとし、発煙装置の設置など実際の状況と似たような環境で乗務員が訓練できるよう整備するという。また、地域の消防本部など専門機関での研修を通じて、専門性をさらに高める方針だと説明した。
さらに、バッテリー火災発生時の熱暴走や爆発の危険を最小限に抑える装置(リチウムバッテリー火災防止ポーチ)も機内に配備するという。また、乗務員により迅速な消火活動が行われるよう、防火手袋も機内に追加配備すると伝えられた。
エアプサンのチョン・ビョンソプ代表は「機内火災に対する乗客の懸念や不安を解消し、安全な旅行環境を確保するため、先制的に強化策を策定した」と述べ「社内の従業員の安全意識向上と能力強化、航空安全文化の普及にも引き続き努めていくつもりである」と語った。
専門家はモバイルバッテリーを安全に持ち込むには、ビニールなどで端子を覆い、直接携帯する必要があるとアドバイスしている。米連邦航空局(FAA)は、すべての予備リチウムバッテリーをバッグから取り出し、乗客が直に保管するよう規定しているという。また、火災予防のためバッテリー端子をテープで覆う方法や、ビニール袋または保護ポーチに入れるよう注意を促しているということも明らかにされた。ターキッシュ・エアラインズ、シンガポール航空、台湾のエバー航空なども、バッテリーを元々の包装袋またはビニール袋に入れるよう規定しているという。
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